「体験授業には来てくれるのに、なかなか入塾につながらない…」 「せっかく時間をかけて体験授業をしたのに、その後連絡が取れなくなる…」 「体験授業後の断り率が高くて困っている…」
このような悩みを抱えている塾経営者の方は少なくありません。体験授業は入塾前の最も重要な接点です。しかし、その体験授業を活かしきれていない塾が多いのも事実です。
この記事では、体験授業からの入塾率を上げるための具体的な方法を、事前準備から事後フォローまで7つのステップに分けて解説します。
体験授業からの入塾率、あなたの塾は何%?
まず、自塾の入塾率がどの水準にあるか確認しましょう。
入塾率の計算方法
入塾率 = 入塾した生徒数 ÷ 体験授業を受けた生徒数 × 100
例:体験授業を10人が受けて、そのうち6人が入塾した場合 → 入塾率は60%
入塾率の目安
改善のサインとして見る「参考ライン」
あくまで参考値ですが、入塾率が50%を下回る状態が続いている場合は、改善余地が大きいケースが多く見られます。
理由はシンプルです。
体験授業まで来ている時点で、保護者と生徒はすでに「本気で塾を検討している段階」にあります。
それにもかかわらず半数以上が入塾に至らない場合
- 塾の強みが十分に伝わっていない
- 保護者の不安を解消しきれていない
- 比較検討の中で決め手を示せていない
といった点が、体験授業やその前後の対応に残っている可能性が高いと考えられます。
なぜ入塾率が重要なのか
入塾率が低いということは、せっかくの見込み顧客を逃していることを意味します。
例えば、月に10人が体験授業を受けるとして:
- 入塾率30%の塾:月3人の入塾
- 入塾率60%の塾:月6人の入塾
年間で考えると36人と72人、2倍の差になります。広告費をかけて集客するよりも、体験授業からの入塾率を上げる方が、はるかに費用対効果が高いのです。
それでは、入塾率が低い塾にはどんな共通点があるのでしょうか。
入塾率が低い塾の5つの共通点


体験授業からの入塾につながらない塾には、明確な共通点があります。
1. 体験授業の位置づけが曖昧
「とりあえず授業を体験してもらえばいい」という考え方では、入塾率は上がりません。体験授業は「塾の良さを伝える場」であり「保護者の不安を解消する場」でもあります。この目的意識がないまま、ただ授業をするだけでは効果は薄いのです。
2. 保護者への情報提供が不足している
体験授業では子どもの様子ばかりに気を取られて、保護者とのコミュニケーションがおろそかになっているケースがあります。実際に入塾を決めるのは保護者です。保護者が「この塾なら安心して任せられる」と思えなければ、入塾にはつながりません。
3. フォローアップが弱い、または存在しない
体験授業が終わったら「ご検討ください」で終わり。その後のフォローがないか、あっても形式的な連絡だけ。これでは保護者の心は動きません。体験授業後のフォローアップこそが、入塾率を大きく左右します。
4. 講師の対応がマニュアル的
「体験授業用のテキスト」を使って、決められた内容を教えるだけ。一人ひとりの生徒に合わせた対応ができていないと、保護者は「うちの子に本当に合うのかな?」と不安になります。
5. 「この塾に決める理由」を提供していない
保護者は複数の塾を比較検討しています。「どこも同じような感じだな」と思われてしまえば、入塾にはつながりません。自塾ならではの強みや、他塾との違いを明確に伝える必要があります。
これらの共通点に心当たりはありませんか?もしあるなら、次に紹介する7つの方法を実践することで、入塾率は確実に改善します。
【方法1】体験授業申込時の対応で差をつける(事前準備編)


入塾率を上げる戦いは、体験授業の前から始まっています。
24時間以内の返信を徹底する
問い合わせがあったら、できるだけ早く返信しましょう。理想は24時間以内です。
保護者は複数の塾に同時に問い合わせていることが多く、返信が早い塾ほど印象が良くなります。「対応が早い=しっかりしている塾」という印象を与えられます。
逆に、返信が遅いと「忙しくて生徒一人ひとりを見てくれないのでは?」という不安を与えてしまいます。
事前アンケートで情報を収集する
体験授業の申込時に、簡単なアンケートをお願いしましょう。
聞いておくべき項目:
- お子さまの学年と通っている学校
- 現在の学習状況(得意な科目、苦手な科目)
- 体験授業で特に見てほしいポイント
- 塾を探している理由(成績向上、受験対策、学習習慣など)
- 他に検討している塾はあるか
これらの情報があれば、体験授業を一人ひとりに合わせた内容にカスタマイズできます。また、保護者の関心事を事前に把握できるため、的確な提案ができるようになります。
事前に情報を把握しておくことで、「うちの子のために準備してくれた」という印象を与えられます。
この時点で、保護者の比較対象から一歩抜け出せます。
当日の流れを明確に伝える
体験授業の案内メールや電話で、当日の流れを詳しく伝えましょう。
伝えるべき内容:
- 所要時間(授業○分、面談○分など)
- 持ち物(筆記用具、ノート、成績表など)
- 服装(私服でOK、制服でなくても大丈夫など)
- 保護者の同席について(同席推奨か、待合室があるか)
- 駐車場や駐輪場の有無
初めて来る場所は誰でも不安です。事前に詳しい情報を提供することで、保護者と生徒の不安を減らし、リラックスして体験授業を受けてもらえます。
【方法2】保護者の不安を事前に解消する


保護者が体験授業に来る時点で、多くの不安を抱えています。
よくある質問に先回りして答える
体験授業の案内と一緒に、よくある質問とその回答をまとめた資料を送りましょう。
保護者がよく気にすること:
- 月謝はいくらかかるのか(授業料、教材費、施設費など)
- 週に何回通うのか、曜日や時間は選べるのか
- 講師はどんな人が教えるのか
- 宿題はどれくらい出るのか
- いつでも辞められるのか、違約金はあるのか
- 定期テスト前のサポートはあるのか
- 振替授業は可能か
これらの情報を事前に提供することで、保護者は安心して体験授業に臨めます。
料金体系を明示する
「料金は面談で」という姿勢は、保護者に不信感を与えます。ホームページや案内資料に、料金を明確に記載しましょう。
もし学年やコースによって料金が異なる場合は、料金表を用意して「詳しくはこちらをご覧ください」と案内するのが親切です。
講師プロフィールを共有する
「どんな先生が教えてくれるのか」は、保護者が最も気になるポイントの一つです。
体験授業を担当する講師のプロフィールを事前に送りましょう。
プロフィールに含めるべき内容:
- 名前と顔写真
- 出身大学・学部
- 指導歴や得意科目
- 指導方針やモットー
- 趣味や特技(親近感を持ってもらうため)
講師の人柄が伝わるプロフィールがあると、保護者も生徒も安心して体験授業を受けられます。
【方法3】体験授業当日の「最初の5分」を大切にする


第一印象は、最初の数分で決まります。
保護者への挨拶と場の作り方
体験授業が始まる前に、必ず保護者に挨拶をしましょう。
「本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます。○○先生が担当させていただきます。どうぞよろしくお願いします」
このひと言があるだけで、保護者の印象は大きく変わります。
また、保護者が同席する場合は、見学しやすい位置に椅子を用意するなど、細やかな配慮が信頼につながります。
子どもの緊張をほぐす方法
初めての場所、初めての先生。生徒は緊張しています。
いきなり勉強を始めるのではなく、最初の2〜3分は雑談から入りましょう。
「今日は学校どうだった?」 「好きな科目は何?」 「部活は何やってるの?」
こうした何気ない会話で、生徒の緊張をほぐします。リラックスした状態で授業を受けてもらうことが、「楽しかった」「また来たい」という気持ちにつながります。
観察ポイントを保護者に伝える
授業が始まる前に、保護者に「今日はこういうところを見させていただきますね」と伝えましょう。
「今日は○○さんの理解度や、どこでつまずきやすいかを確認しながら進めていきます。授業後に詳しくフィードバックさせていただきますね」
こう伝えることで、保護者は「ちゃんと見てくれている」と安心しますし、授業後の面談への期待も高まります。
【方法4】授業内容で「ここに通いたい」と思わせる


体験授業の内容そのものが、入塾率を大きく左右します。
成功体験を必ず作る
体験授業では、生徒が「できた!」「わかった!」という成功体験を味わえるように設計しましょう。
難しすぎる問題を出して「やっぱりできない…」と思わせるのは逆効果です。少し簡単なところから始めて、徐々にレベルを上げていく。そして最後には「最初は難しそうに見えたけど、できた!」という達成感を与える。
この成功体験が「ここなら自分も頑張れそう」という気持ちを生み出します。
子どもの良い点を具体的に伝える
授業中、生徒の良いところを見つけたら、その場で褒めましょう。
「今の解き方、すごくいいね!」 「説明の仕方が上手だね」 「集中力があるね」
ただし、お世辞ではなく、本当に良いと思ったところを具体的に褒めることが大切です。
子どもが嬉しそうにしている姿を見れば、保護者も「この先生なら任せられる」と感じます。
保護者が見ていることを意識した指導
保護者が同席している場合は、保護者に向けた説明も織り交ぜましょう。
「今、○○さんはこういう考え方で解いています。これはとても良いアプローチですね」
「ここで少しつまずいていますが、これは多くの生徒さんが間違えやすいポイントなんです。こういう教え方をすると理解しやすくなります」
こうした説明を入れることで、保護者は指導の様子を具体的にイメージでき、「この先生は教え方がわかりやすい」と感じてもらえます。
【方法5】体験授業後の面談で信頼を築く


授業が終わった後の面談は、入塾を決めてもらうための最重要ポイントです。
子どもの様子を具体的にフィードバックする
「頑張っていましたよ」だけでは不十分です。具体的に、どんな様子だったかを伝えましょう。
良いフィードバック例:
「数学の計算問題はスムーズに解けていましたが、文章題になると少し手が止まっていました。これは文章を読み取る力を鍛えることで改善できます。具体的には…」
「英語の単語は覚えているのですが、文法の理解がまだ曖昧なようです。ここを重点的に教えることで、成績アップが期待できます」
このように、現状の課題と、それをどう改善できるかを具体的に伝えることで、保護者は「この塾なら子どもを伸ばしてくれそう」と感じます。
学習プランの提案(押し売りしない)
面談では、その生徒に合った学習プランを提案しましょう。
「○○さんの場合、週2回の授業で、数学と英語を中心に進めるのがおすすめです。定期テスト前には理科や社会のサポートもできます」
ただし、ここで注意すべきは「押し売りしないこと」です。
「絶対に週3回は必要です」「今すぐ始めないと間に合いません」といった強引な営業トークは、保護者を遠ざけます。
あくまで「こういうプランがおすすめですが、ご予算やご都合に合わせて調整できますよ」というスタンスが大切です。
「ご家族で相談してください」の余裕
面談の最後に「今日決めていただかなくても大丈夫です。ご家族でよく相談してから、お返事いただければと思います」と伝えましょう。
この「余裕のある姿勢」が、逆に保護者の信頼を高めます。
「押し売りされなかった」 「こちらのペースを尊重してくれた」
こう感じた保護者は、前向きに入塾を検討してくれます。
【方法6】その場で決めさせない事後フォロー術


体験授業後のフォローが、入塾率を大きく左右します。
翌日のお礼メール
体験授業の翌日には、必ずお礼のメールを送りましょう。
メールテンプレート例:
○○様
昨日は体験授業にお越しいただき、ありがとうございました。
○○さんは集中力があり、わからないところを素直に質問してくれる姿勢が素晴らしかったです。
特に数学の計算問題では、着実に理解を深めている様子が見られました。
もし授業についてご質問や不安な点がございましたら、いつでもお気軽にご連絡ください。
○○さんの学習をサポートできる日を楽しみにしております。
△△塾
担当:□□
このメールで大切なのは「売り込み」ではなく「感謝」と「関心」を伝えることです。
3日後の電話フォロー
メールを送った3日後に、電話でフォローしましょう。
「先日はありがとうございました。その後、ご家族でお話しされましたか?」
「何か気になる点や、もっと詳しく知りたいことはございませんか?」
この電話で、保護者が抱えている疑問や不安を聞き出します。
もし「料金がちょっと…」「他の塾と比較していて…」といった本音が聞けたら、それに対して誠実に答えましょう。
1週間後の最終確認
電話フォローから1週間経っても返事がない場合は、最後にもう一度連絡します。
「その後いかがでしょうか。もしご質問があれば、いつでもお答えしますので、お気軽にご連絡ください」
ここでも「決めてください」ではなく「いつでもお答えします」という姿勢を保つことが大切です。
しつこくならない範囲で、適度にフォローすることで、「気にかけてくれている」という好印象を与えられます。
【方法7】断られた理由を分析して改善する


入塾に至らなかった場合も、そこから学ぶことができます。
断られた理由を記録する
入塾に至らなかった場合は、その理由を記録しましょう。
「他の塾に決めた」 「料金が合わなかった」 「通塾の距離が遠かった」 「子どもが乗り気でなかった」 「もう少し検討したいと言われた」
理由を記録していくと、自塾の課題が見えてきます。
よくある断り文句の真意
保護者が伝える断りの理由は、必ずしも本音とは限りません。
「もう少し検討します」 → 本音:他の塾と比較中、または決め手に欠ける
「子どもが乗り気でない」 → 本音:保護者自身が不安を感じている
「料金が…」 → 本音:料金に見合う価値を感じていない
こうした断り文句の裏にある本音を理解し、事前に解消できるようにすることが大切です。
PDCAサイクルを回す
記録した情報をもとに、改善策を考えましょう。
Plan(計画): 「料金で断られることが多い」→ 料金の説明方法を改善する
Do(実行): 体験授業の面談で、料金に見合う価値を具体的に説明する
Check(評価): 1ヶ月後、料金を理由に断られる率が減ったか確認
Action(改善): さらに改善点を見つけて次のサイクルへ
このPDCAサイクルを継続的に回すことで、入塾率は着実に向上します。
入塾率を上げるためのチェックリスト
ここまで紹介した内容を、すぐに実践できるチェックリストにまとめました。
事前準備のチェック項目
□ 問い合わせに24時間以内に返信している
□ 事前アンケートで生徒の情報を収集している
□ 体験授業の当日の流れを詳しく伝えている
□ よくある質問への回答を用意している
□ 料金体系を明示している
□ 担当講師のプロフィールを共有している
当日対応のチェック項目
□ 保護者に丁寧に挨拶している
□ 生徒の緊張をほぐす雑談をしている
□ 成功体験を作る授業設計をしている
□ 生徒の良い点を具体的に褒めている
□ 保護者にも分かる説明を入れている
□ 体験授業後の面談で具体的なフィードバックをしている
□ 学習プランを提案している
□ 「ご家族で相談してください」と余裕を見せている
事後フォローのチェック項目
□ 翌日にお礼のメールを送っている
□ 3日後に電話でフォローしている
□ 1週間後に最終確認の連絡をしている
□ 断られた理由を記録している
□ 記録をもとに改善策を考えている
全ての項目にチェックが入らなくても大丈夫です。まずはできるところから始めましょう。


よくある質問(FAQ)
Q. 体験授業は無料と有料、どちらがいい?
A. どちらにもメリット・デメリットがあります。
無料のメリット: 気軽に参加してもらえる、集客のハードルが低い
無料のデメリット: 冷やかしや、入塾の意思が低い人も来る
有料のメリット: 本気で検討している人が来る、講師の時間に対価が払われる
有料のデメリット: 参加のハードルが上がる
一般的には、無料体験の方が集客しやすいです。ただし、有料(1,000〜2,000円程度)にして、入塾時に全額返金するという方法もあります。これなら「本気で検討している人」だけが来て、かつ入塾のインセンティブにもなります。
Q. 体験授業の時間はどれくらいが適切?
A. 60〜90分が一般的です。
授業時間:50〜60分
面談時間:10〜30分
あまり短すぎると塾の良さが伝わりませんし、長すぎると生徒も保護者も疲れてしまいます。通常授業と同じ時間か、少し短めに設定するのがおすすめです。
Q. 保護者は同席すべき?
A. できれば同席してもらうことをおすすめします。
保護者が同席することで、指導の様子を直接見てもらえますし、その場で質問にも答えられます。ただし、生徒が保護者の前だと緊張してしまう場合もあるので、「同席も可能ですし、お待ちいただくこともできます」と選択肢を提示するのが良いでしょう。
待合スペースがある場合は、保護者向けの資料(教育に関する情報、塾の実績など)を用意しておくと、待ち時間を有効に使ってもらえます。
Q. 複数の体験授業希望にどう対応する?
A. 可能な限り応じましょう。
「数学と英語、両方体験したい」といった希望があれば、2回に分けて体験授業を実施するのも一つの方法です。複数回来てもらうことで、塾の雰囲気に慣れてもらえますし、入塾への心理的ハードルも下がります。
ただし、何回でも無料というわけにはいかないので、「体験授業は2科目まで」といったルールを決めておくと良いでしょう。
まとめ:入塾率50%を超えるために今日からできること
体験授業からの入塾率を上げるために、特別な才能や高額な投資は必要ありません。必要なのは「保護者と生徒に寄り添う姿勢」と「細やかな配慮」です。
今日からできる3つのアクション
- 問い合わせへの『返信スピード』を上げる
- まずはこれだけでも印象が大きく変わります
- 体験授業後のフォローメールを送る
- 翌日のお礼メールだけで入塾率は変わります
- 断られた理由を記録する
- 1ヶ月分の記録を見れば、改善点が見えてきます
小さな一歩から始めましょう。この記事で紹介した7つの方法を一つずつ実践していけば、入塾率は必ず改善します。
体験授業は、塾の魅力を伝える最大のチャンスです。そのチャンスを最大限に活かして、一人でも多くの生徒に「この塾に通いたい」と思ってもらえるよう、取り組んでいきましょう。
学習塾の集客全般については、学習塾の集客を成功させる完全ガイドの記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。


集客でお困りなら、専門家に相談してみませんか?
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
「理屈は分かったけど、うちの塾に何が必要なのか分からない」 「体験授業の入塾率を上げたいけど、どこから手をつければいいか迷っている」 「第三者の視点でアドバイスがほしい」
そんなふうに感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
私は中小企業診断士として、貴塾の状況に合わせて、今すぐ取り組むべきこと、中長期的に取り組むべきことを整理し、具体的な実行プランを一緒に考えます。
「こんなこと聞いていいのかな?」という小さな疑問でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。


