小規模事業者持続化補助金の申請では、事業計画書(経営計画書兼補助事業計画書)が採択可否を左右する非常に重要な書類です。本記事では、その事業計画書の目的や構成、経営計画書と補助事業計画書の違い、効果的な書き方のポイントなどを最新の情報に基づき解説します。中小企業経営者や創業間もない個人事業主の方にとっても、有益で信頼できる情報が満載ですので、ぜひ参考にしてください。
1. 小規模事業者持続化補助金の事業計画書とは?基本ポイントを解説


事業計画書の役割と重要性
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者等が策定した経営計画に基づき販路開拓等の取り組みを支援する制度です。その申請時に提出する事業計画書は、自社のビジョンや戦略を審査員に伝えるための基盤となる書類です。事業の現状分析から今後の方針、補助金の使途までを網羅し、自社の価値と計画の妥当性を客観的に示します。この計画書の質が補助金採択を左右すると言っても過言ではなく、要点を押さえた分かりやすい計画書作成が求められます。
事業計画書の目的: この書類には主に次の目的があります。
- 事業の現状把握
自社の経営状況や市場動向を分析し、現状の課題や立ち位置を明確化します。経営計画書の審査項目にも、「自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや強みを理解しているか」が含まれています。 - 中長期の目標設定
今後の経営方針や具体的な数値目標を設定し、それを達成するための戦略を示します。例えば「○年までに売上△%増」など、具体的な数字と期限を盛り込んだ目標を立てることが重要です。 - 資金活用計画の提示
補助金をどのように活用するか、その使途と期待される効果を具体的に記載します。これにより審査員に対して、補助金の必要性と有効性について納得感を与える狙いがあります。補助事業計画部分では、計画が具体的かつ実現可能であり、経営目標の達成に必要で有効な取組であるかがチェックされます。
基本的な書き方のポイント: 事業計画書作成にあたっては、以下の点を押さえましょう。
- 要点を簡潔にまとめる
冗長な説明は避け、伝えるべきポイントを明確に絞って記載します。箇条書きなどを活用すると情報が整理され、読み手にとって理解しやすくなります。 - 視覚資料の活用
グラフや表、写真などを挿入し、データや実績を視覚的に示します。例えば売上推移をグラフ化することで、文章だけでは伝わりにくい傾向も一目で伝わります。図表やスケジュール表を盛り込めば計画に具体性と説得力が増します。 - 専門用語を避け平易な表現に
業界特有の専門用語の多用は避け、審査員が誰でも理解できる言葉で書くことが大切です。審査員は必ずしもあなたの業界の専門家ではない可能性があるため、用語の説明や言い換えを心がけましょう。 - 第三者の助言を活用
商工会議所や商工会、金融機関、中小企業支援機関のアドバイザーなどからアドバイスを受けて計画書をブラッシュアップするのも有効です。客観的な視点を取り入れることで抜け漏れのない説得力のある内容に仕上がります。また、身近な同僚や他部署のメンバーに下書きをレビューしてもらい、誤字脱字や分かりにくい表現をチェックするのも有効です。 - ページ数・文字量に配慮
経営計画書と補助事業計画書を合わせて最大8ページ程度というボリューム目安があります。公式には文字数制限はありませんが、過度に簡潔すぎる(極端にページ数が少ない)計画書は内容不足と見なされる可能性があります。多くの申請者はこの上限近くまで詳細に記述しています。したがって情報量は十分に盛り込み、しかし冗長にならないバランスを目指しましょう。
経営計画書と補助事業計画書の違い: 小規模事業者持続化補助金の申請書類では、事業計画書が大きく2つのセクションに分かれています。
- 経営計画書
自社の概要・沿革、経営理念、強み、事業環境、そして今後の成長戦略などを述べるパートです。審査では「自社の強みを踏まえた経営方針・目標になっているか」「対象市場の特性を考慮しているか」などが見られます。平たく言えば、自社の現状を客観分析した上で、自社の強みを活かせる土俵で戦う戦略が描けているかどうかを示す部分です。 - 補助事業計画書
補助金を使って実施する具体的な事業内容や、その進め方、予算配分等を詳細に記載するパートです。こちらは「計画が具体的で自社にとって実現可能性が高いか」「経営計画の目標達成に必要かつ有効な取り組みか」「小規模事業者ならではの創意工夫があるか」などが審査観点となります。つまり補助金で何をやるのかを審査員にプレゼンする箇所であり、経営計画書で示した方針・課題を踏まえて、その解決策として補助事業の必然性を訴える部分です。併せて、計画に沿った具体的な経費明細(様式3)も提出します。経費の積算が正確か、必要なものだけが計上されているかも確認されます。
以上のように、経営計画書は会社全体の経営ビジョンと戦略を示し、補助事業計画書はそのビジョン実現のため補助金で行う具体策を示すという役割の違いがあります。どちらも欠かせない要素であり、一貫性を持って整合的に書かれている必要があります。
留意点
計画書作成にあたって最後に留意すべきは、整合性と客観性です。経営計画部分で述べた課題認識や強みと、補助事業計画部分の内容が食い違わないようにし、全体を通して筋の通ったストーリーにしましょう。さらに自社にとって都合の良いことだけでなく、市場環境や競合状況など外部要因も踏まえて現実的な計画になっているかをチェックしましょう。専門用語を避ける点については既に述べましたが、どうしても業界特有の内容になる場合は補足説明を入れるなど、審査員の視点に立った丁寧さも心がけてください。
2. 経営計画書の書き方と採択されるためのコツ
経営計画書とは
経営計画書は、自社の現状分析と将来ビジョンを示すパートです。この部分でしっかりと自社の強みや市場環境を説明し、今後の方針を論理的に示すことで、補助事業(計画しているプロジェクト)の必要性に説得力を持たせることができます。ここが弱いと後半の補助事業計画を書いても説得力に欠けるため、採択率を上げるにはまず経営計画書の質を高めることが重要です。
経営計画書に盛り込むべき主な項目
小規模事業者持続化補助金の公募要領および様式の指示に従うと、経営計画書には以下の4つの項目を中心に記載します。各項目の内容と書き方のポイントを解説します。
- ① 企業概要
企業の基本情報や沿革、提供する商品・サービスの概要、組織体制、所在地・店舗の特徴などを記載します。ここでは代表者の経歴や創業の経緯にも触れると良いでしょう。例えば「〇年〇月創業。創業者は〇〇業界で△年の経験あり」などと書き、自社事業との関連性を示すと審査員の理解が深まります。また、理念やビジョンが明確であればここで簡潔に述べておきましょう。。 - ② 顧客ニーズと市場の動向
自社を取り巻く市場環境や顧客のニーズについて分析結果を記載します。具体的には「顧客が何を求めているか」「競合他社の状況(競争相手はどんな企業か、その強み弱み)」「市場規模や顧客数の将来予測」「自社のターゲット層の動向(増えているのか減っているのか、その理由)」などです。例えば飲食店であれば、近隣の競合店数や価格帯、人口動態の変化による来店客数の推移など、売上に影響を与える外部要因をできるだけデータで示します。そのため、このパートでは市場調査データや統計資料、顧客アンケート結果なども活用しながら、定量的かつ詳細に環境分析を行いましょう。「競合は地域に〇店舗、価格帯は平均△円、〇年に大型チェーンが新規参入し売上がX%減少」など具体的な記述が望ましいです。 - ③ 自社の強み
提供する商品・サービスやビジネスモデルが競合他社に比べて優れている点、独自の強みを記載します。例えば「価格が安い」「品質が高い」「提供が迅速」「アフターサービスが手厚い」など、どの切り口でも構いませんので、他社との差別化ポイントを明確に示しましょう。また強みを裏付ける根拠も書くと説得力が上がります。「お客様の声」や第三者評価を加えることで、客観的な裏付けとなり審査員へのアピールにつながります。客観的なデータや具体例を交えて、自社の強みを定性的・定量的に示しましょう。 - ④ 経営方針・目標と今後のプラン
上記1~3の分析を踏まえ、これからの経営方針と具体的な経営目標、その達成のためのプランを記載します。ここが経営計画書の集大成と言える部分です。まず中長期の数値目標を明記しましょう(例:「○年までに売上高を△△万円にする」「3年後までに新規顧客を現在の2倍に増やす」等)。そしてその目標を達成するために取るべき戦略や具体策を示します。「新商品の開発」「新規出店」「設備投資による生産性向上」など、プランが複数ある場合は優先順位やロードマップも書くとよいでしょう。ここではスケジュールや実施体制にも触れてください。表や図を用いてプロジェクトの実施内容やタイムラインを示すと、計画が明確になり説得力が増します。
以上が経営計画書に盛り込む主要な内容です。特に数値目標の明確さと分析に基づいた戦略がポイントとなります。経営計画部分でしっかりと筋道を立てておけば、次の補助事業計画部分で「だからこの取組が必要なのです」と説得しやすくなります。
これらのポイントを意識して経営計画書を作り込めば、補助金の採択可能性は大きく高まります。自社の強みと市場環境を的確に反映した説得力ある経営計画書を作成し、補助事業計画につなげていきましょう。
3. 補助事業計画書を作成する際の重要なポイント
補助事業計画書は、補助金を活用して具体的にどんな事業を行うのかを示すパートです。審査員はこの部分から「この企業は補助金を使って明確な販路開拓や生産性向上に取り組み、その効果が期待できるか」を判断します。以下、補助事業計画書を作成する上で特に重要なポイントを解説します。
- 補助事業名(プロジェクト名)の設定
まず補助事業で行う事業名を記入します。これはプロジェクトのタイトルであり、一目で内容が分かる具体的な名称にしましょう。「〇〇による△△事業」「新商品〇〇の開発と販路拡大」のように、取組の核心が伝わるタイトルが望ましいです。公募要領上、30文字以内という制限があるため、簡潔かつ要点を押さえた命名を心がけます。 - 販路開拓等の取組内容
補助事業計画の中心となる項目です。どのように新たな販路を開拓するか、あるいは既存販路を拡大するかを具体的に記載します。単に「販路拡大に取り組む」と書くだけでなく、誰に・何を・どのように売るのかまで踏み込みます。市場分析で把握したターゲット層に対し、どんなアプローチをするのかを具体的に描きましょう。 - 業務効率化(生産性向上)の取組内容(該当する場合)
補助金の趣旨には販路開拓支援だけでなく、小規模事業者等の生産性向上の支援も含まれています。そのため該当があれば、業務プロセスの改善策やIT導入などによる効率化施策も記載しましょう。「〇〇ソフト導入で○時間/月の業務削減」「工程改善で不良品率△%減」など、できる限り数値を交えて効果を示すのがコツです。 - 補助事業の効果(期待される効果の具体化)
補助金を投入して行う事業により、どのような成果や波及効果が得られるかを数字や具体例で示します。審査ではここが非常に重要で、投資対効果が感じられるかどうかが評価の分かれ目となります。
- 売上・顧客効果
- 「新規顧客◯人獲得」「年間売上◯◯万円増(前年比△%)」など、数値で具体的に示す
- SNSフォロワー数 × 転換率 × 客単価 など、根拠ある試算を添える
- 取引先・周辺事業者への波及効果
- 原材料を地元業者から仕入れて「◯◯農家の売上向上」など、サプライチェーン全体への効果を書く
- 新サービスにより「協力業者の発注量が増加」など、自社以外へのメリットを明記する
- 地域社会への効果
- 「空き店舗活用で商店街の賑わい創出」「高齢者向け移動販売で買い物弱者支援」など、地域課題解決・雇用創出・活性化をアピールする
- 「空き店舗活用で商店街の賑わい創出」「高齢者向け移動販売で買い物弱者支援」など、地域課題解決・雇用創出・活性化をアピールする
- 数値目標の達成時期
- 「来年度までに月商◯◯万円増」「3年以内に年間売上△△万円達成」など、期間と数値をセットで記載する
- 売上・顧客効果
- 重要
効果を書く際には必ず**「理由を添えて具体的に」**記述します。ただ「売上○○万円増の見込み」と書くだけでなく、「○○を行うことで△△な新規顧客を獲得でき、その客単価×来店頻度から××万円の増収を見込む」といった具合に、その数字になる根拠や背景を説明してください。これは審査員に計画の信頼性を伝えるうえで非常に大切です。 - ITの効果的活用
現代のビジネスにおいてIT活用は競争力強化の鍵となります。持続化補助金でも「ITを有効に活用しているか」という点が審査観点の一つに挙げられています。したがって、計画書の中でどのようにIT技術を取り入れるかを明記しましょう。例えば「クラウド型在庫管理システムを導入し在庫回転率を改善」「SNS広告とアクセス解析ツールを活用してマーケティングの効果を可視化」「オンライン商談システム導入で営業範囲を全国に拡大」等、具体的に触れます。IT活用は前述の業務効率化とも関連しますが、単なる効率化に留まらず売上拡大への戦略的活用であることを示せれば理想的です。 - 実現可能性のアピール
補助事業計画全体を通して忘れてはいけないのが、本当に実行できる計画なのかという視点です。審査員は計画の華やかさだけでなく、その実現可能性を厳しく見ています。したがって計画の裏付けとなる準備状況や体制もアピールしましょう。
以上のポイントに留意しながら補助事業計画書を作成すれば、審査員に自社のビジョンと具体策、そして成功の見込みを強く訴求できるでしょう。次章では、これらポイントを踏まえた具体的な申請書記入例を示します。
4. 審査員の目線で見る!採択されやすい事業計画書の特徴


最後に、審査を行う側の視点に立って「採択されやすい計画書」とはどんなものかを整理してみましょう。審査員は多くの申請書類に目を通しますが、その中で光る計画書は以下のような特徴を備えています。
- 自社の強みと競合優位性を明確に示す
- 「何が強みで、何で勝負するのか」を冒頭で簡潔に伝える。
- 商品・サービスの独自性や差別化要素をデータ付きで記載(例:「口コミ評価4.8点」「リピート率80%」「特許取得済み技術」など)。
- 売上推移や顧客数増加など実績データやグラフで信頼性を高める。
- 数値付きの目標と実現可能な計画
- 「3年後に売上1,000万円」など具体的な目標と期限を明記。
- 達成方法を論理的に説明し、人員体制や資金計画も無理のない範囲で記載。
- 「自己資金200万円投入」「2名増員予定」など準備状況を具体化する。
- 一貫性とストーリー性のある構成
- 「現状の課題→解決策→補助事業→期待効果」が論理的な流れでつながっていることが重要。
- 補助事業が自社の経営課題解決に不可欠であることを示す。
- 読み手に優しいレイアウトと表現
- 箇条書き・段落・太字・図表を活用し、短時間で理解できる資料にする。
- 図表にはタイトル・番号を付け、誤字脱字を徹底的にチェック。
- IT活用と新しい発想を取り入れる
- 「予約システム×SNSで顧客管理」「異業種連携イベント開催」など、小規模事業者ならではの工夫を示す。
- 独自性と実現性のバランスが採択のカギ。
- 妥当で明確な予算計画
- 経費明細は具体的な数量・単価・見積根拠まで記載。
- 「チラシ500部×200円」「機械装置一式200万円(3社見積)」など、裏付けを明示。
- 上限額を狙うだけの不自然な申請は避ける。
- 第三者の助言・客観的視点を反映
- 「商工会議所の指導を受けてブラッシュアップ」など支援機関の関与を記載。
- 顧客アンケートや取引先の意見を踏まえ、一人よがりでない計画を示す。
以上のような特徴を備えた事業計画書は、審査員から見ても説得力と魅力があります。要するに、「この会社になら補助金を託しても大丈夫だ」「補助金を有効に活用して事業を成長させてくれそうだ」と思わせる内容になっているかどうかです。公募要領に示された審査の観点(評価項目)を満たすのは大前提として、そのうえで他の申請者と比べたときに光る強みや練り込まれた計画であることが採択への近道です。
まとめ
小規模事業者持続化補助金の事業計画書は、単なる申請書類ではなく自社の将来像を描いた戦略プランです。このプランの出来が補助金の採択を大きく左右するため、時間をかけて丁寧に作り込む価値があります。この記事で解説したように、事業計画書ではまず自社の強みや現状分析をしっかり行い、それを踏まえた上で具体的かつ実現可能な事業計画を提示することが求められます。
商工会議所や専門家の力も借りつつ推敲を重ね、事業計画書を完成させれば、きっと採択率は高まるはずです。事業計画書作成プロセス自体が、自社の経営を見直し今後を考える貴重な機会にもなります。補助金の獲得だけでなく、その先の事業成長も見据えて、ぜひ納得のいく計画書を作り上げてください。
よくある質問
Q1. 事業計画書の目的は何ですか?
A1. 事業計画書の主な目的は、自社の現状を客観的に把握し、中長期的な目標と具体的な戦略を示すことです。これにより、自社が持続的に発展していくための道筋を明確にします。
Q2. 経営計画書と補助事業計画書の違いは何ですか?
A2. 経営計画書と補助事業計画書は、一つながりの計画書の中で役割が異なるセクションです。経営計画書は自社の概要・強み・経営環境・経営方針や目標など、会社全体の戦略を述べる部分です。一方、補助事業計画書は、その経営計画に基づいて補助金を使って実施する具体的事業(プロジェクト)の内容を記載する部分です。
Q3. 審査員が重視するポイントは何ですか?
A3. 審査員は事業計画書の以下のポイントを特に重視すると考えられます。
- 自社の状況把握と強みの明示
- 計画の具体性・実現可能性
- 補助事業の必要性・有効性
- 創意工夫とIT活用
- 計画書の分かりやすさ
これらのポイントをしっかり押さえて事業計画書を作成しましょう。


