【神奈川県の個人事業主向け補助金・助成金の一覧】市区町村別まで完全公開ガイド

神奈川県で個人事業を始めたい、あるいは事業を拡大したいと考えている方にとって、資金調達は大きな課題です。
そんなとき頼りになるのが、県や市町村、そして全国規模で実施されている補助金・助成金制度です。

本記事では、神奈川県の独自制度から市区町村ごとの支援策、さらに全国制度までを網羅的に整理しました。
「どんな制度があるのか」「いくら支援されるのか」「自分に合うのはどれか」を、多角的に解説します。

1. 神奈川県の個人事業主向け補助金・助成金の基本情報

補助金・助成金の目的

• 起業支援：創業時の資金調達や初期投資を後押し

• 業務効率化・販路拡大：デジタル化や広報活動をサポート

• 地域活性化：商店街の空き店舗活用や地域課題解決型ビジネスの促進

  
  

申請資格の基本

制度ごとに異なりますが、共通するのは以下です。

• 個人事業主や法人であること

• 創業年数や従業員数に制限がある場合あり

• 地域貢献や事業計画の実現可能性が重視される

2. 神奈川県が提供する主要な補助金支援制度

創業支援融資（神奈川県制度融資）

限度額：最大3,500万円
金利：年2.0％以内（創業特例は1.8％以内）
保証料率：0.40％（創業特例は0.00％）
融資期間：1年超～10年（据置期間最大1年）

💡 ポイント
補助金ではなく県と金融機関による低利融資制度ですが、創業期の資金調達手段として実質的な支援効果があります。特に創業間もない事業者は銀行融資が難しい場合も多く、県制度融資は実績が浅い起業家にも門戸を開いている点が特徴です。さらに、市区町村の利子補給制度と組み合わせれば、支払利息の負担を大幅軽減できます。金融機関との取引実績づくりにもつながるため、「創業したばかりで資金調達ルートが限られている方」「金融機関との関係構築を進めたい方」に有効です。

中小企業生産性向上促進事業費補助金（神奈川県）

補助率：小規模事業者は2/3以内、中小企業者は1/2以内
補助額：25万円以上500万円以内（補助下限25万円、上限500万円）
対象経費：機械装置・システム導入費、設備導入に伴う工事費（工事費のみの申請は不可）
公募回数：年度内に複数回実施（例：2025年は5月・7月・8月・9月公募あり）

💡 ポイント
神奈川県内中小企業の生産性向上投資を後押しする補助金です。例えば製造業なら「加工機械・検査装置の導入」、小売業なら「セルフレジや在庫管理システムの導入」など幅広い業種の設備投資に活用できます。小規模事業者への補助率が高いため、自己負担を抑えて最新設備やITツールを導入可能なのがメリットです。ただし、発注から支払い・導入完了までを募集要項で定められた期間内に終える必要があるためスケジュール管理が重要になります。「人手不足を補いたい」「業務効率化に取り組みたい」事業者に特におすすめですが、事前に募集時期をチェックし、計画的に準備しましょう。

中小企業生産性向上促進事業費補助金の詳細な情報をまとめ記事はこちら

3. 神奈川の市区町村別！地域独自の補助金・助成金制度

横須賀市｜市内創業者支援利子補給金

• 内容：創業融資の利子を最初の12回（1年分）補助

• 上限額：15万円（1年間分利子の補助上限）

💡 ポイント
横須賀市で新しく開業する方にとって、最も実用的なスタート支援です。
創業初期は売上が安定せず、返済の利息が心理的にも大きな負担となります。この制度はその負担を軽減し、事業主が本業に集中できる環境をつくることに直結します。
「創業期の資金繰りに不安がある方」「初期投資を銀行借入で賄う方」におすすめです。
注意点としては、開業時期と融資のタイミングが定められているため、計画的な申請が必要です。

横須賀市の市内創業支援利子補給金の受給条件や必要な手続きはこちら

藤沢市｜コミュニティビジネス支援事業

• 内容：空き店舗の賃借料や改装工事費を助成

• 補助率：対象経費の40％（女性・シニアは45％）

• 上限額：賃借料75万円／改装費40万円

💡 ポイント
藤沢市は**「地域課題をビジネスで解決する」**取り組みを積極支援しています。高齢者向けサービス、子育て支援、地域交流の場づくりなど、地域密着型のテーマを持つ事業が評価されやすい傾向があります。空き店舗を活用した地域密着ビジネスの創業者には最適で、女性やシニア世代には補助率が優遇されるため一層有利です。「地域に根ざしたカフェ・コミュニティスペース」「高齢者や子育て世代向けの福祉・教育サービス」などのプランを持つ方にフィットします。

藤沢市のコミュニティビジネス支援事業の詳細説明はこちら

箱根町｜新規創業促進補助金

• 登録免許税補助：会社設立時の登録免許税の半額（上限7.5万円）

• 創業支援補助金：創業経費の1/2（上限10万円）

💡 ポイント
観光地・箱根ならではのユニークな補助制度で、会社設立時のコストを直接支援してくれるのが特徴です。例えば株式会社設立時に必ず発生する登録免許税（通常資本金にかかわらず15万円）が実質全額免除になるような効果が得られます。さらに、広報費や店舗改装費など創業時に避けられない経費もカバーできるため、小規模でも手厚いサポートです。

箱根町の新規創業促進補助金の補助対象者や提出書類はこちら

綾瀬市｜商業者支援事業補助金

• 店舗開業事業：2/3補助、上限200万円（※補助基本額100万円＋新規創業の場合100万円加算）

• 店舗改装事業：1/2補助、上限50万円

• 商品開発・販売促進：1/2補助、上限10万円（1商品あたり）

💡 ポイント
「綾瀬市でお店を出したい！」という事業者には非常に手厚い総合支援策です。中でも新規店舗開業補助（最大200万円）は市町村レベルでは破格の高額補助で、賃料・内外装工事・広告宣伝費まで幅広い費用に充てることができます。既存店向けにも改装費補助があり、老朽化した店舗のリニューアルやバリアフリー改修等にも活用可能。さらに商品開発や販促活動への補助も用意されているため、創業時の立ち上げから既存事業の強化までワンストップで支援を受けられる点が魅力です。

綾瀬市の商業者支援事業補助金の補助対象者や申請書類はこちら

厚木市｜中小企業資金融資利子補給制度

• 内容：市融資・県の創業支援融資・マル経融資の利子を補給

• 上限額：年間20万円（最大36か月）

💡 ポイント
融資を受けた後の利子負担を実質半減できる厚木市独自の制度です。創業時に限らず運転資金・設備資金の借入にも利用でき、中小企業の資金繰りを長期に支援します。厚木市は製造業や建設業などものづくり系事業者が多い土地柄で、大きな設備投資や長期運転資金ニーズにもマッチしやすい支援策と言えます。「銀行や公庫からの借入は避けられないが、利息負担を少しでも減らしたい」という事業主には大きなメリットです。※市の融資制度を利用した場合は最長3年間補助が受けられますが、県制度融資利用時は2年間が限度になる点に注意しましょう。

厚木市の中小企業資金有利利子補給制度の概要はこちら

大和市｜新規出店支援事業

助成率・上限: 対象経費の1/2、上限100万円（実際に支出した経費の1/2または100万円のいずれか低い額）

💡 ポイント: 大和市が令和7年度に新設した制度で、シャッター街対策と創業支援を兼ねた助成金です。商店街の空き店舗で新たにビジネスを始める場合に、改装工事や家賃など初期コストの半分を補助してもらえるため、自己資金の不足を補い経営基盤の早期安定につなげられます。特に飲食店やサービス業、小売店など商店街の活性化に寄与する業種が対象で、「出店コストがネックで踏み出せない」という起業家にとって心強い後押しとなるでしょう。

大和市の新規出店支援事業の補助対象者や補助対応の経費はこちら

平塚市｜中心市街地活性化事業補助金 

• 空き店舗出店支援: 賃借料の1/2補助（上限:月額5万円、重点エリアは月額10万円）×12ヶ月間

• 店舗改装支援: 改装費の1/2補助（上限:50万円、重点エリアは100万円）

💡 ポイント: 平塚市の中心市街地で空き店舗の出店促進と店舗リニューアルを図る制度です。新規出店者にとっては開店後1年間の家賃補助を受けられるため、売上が軌道に乗るまでの家賃負担を大きく軽減できます。中心街で商店街のにぎわい創出に寄与する事業者を応援する制度であり、「テナント賃料が高い中心市街地でチャレンジしたい創業者」「店舗を改装して集客力を上げたい商店主」にとって頼れる支援策です。

平塚市の中心市街地活性化事業補助金の補助対象者と補助エリアについてはこちら

伊勢原市｜創業準備奨励金

補助率・上限: 対象経費の30％以内、上限50万円

💡 ポイント: 伊勢原市は独自に、空き店舗活用や自宅開業による創業を後押しする奨励金制度を設けています。経費の3割とはいえ最大50万円まで補助されるため、自己資金が少ない起業家でも店舗改装や宣伝に着手しやすくなります。支給対象となるには市が認定した創業支援事業（金融機関や商工会による創業セミナー等）を受講していることが条件です。※現在（令和7年度）は予算の都合で募集停止中です。

伊勢原市の創業準備奨励金の補助対象者や補助条件はこちら

4. 全国の補助金制度（神奈川県でも利用可能）

小規模事業者持続化補助金

• 上限：50万円（特例で最大200万円上乗せあり）

• 補助率：2/3（※条件により3/4）

• 対象：販路開拓、Web制作、広告、展示会出展、機械装置導入など

💡 ポイント
全国的に利用者が多い、中小・小規模事業者向けの代表的な補助金です。売上アップや販路拡大に直結する取組みに幅広く使えるのが特徴で、「創業直後でまずお客さんを増やしたい」「新商品のPRをしたい」といったニーズに応えます。商工会議所や商工会が窓口となり計画作成を支援してくれるため、補助金申請が初めての方の入門編としても最適です。定期的に公募されており、採択率も比較的高めですが、年々競争が激しくなっているため事業計画書は具体的な数値目標や市場分析を盛り込むと良いでしょう。

小規模事業者持続化補助金の詳細情報をまとめた記事はこちら

IT導入補助金

• 上限：350万円（導入するITツールや事業類型によって異なる）

• 補助率：1/2以内または3/4以内（※条件による）

• 対象：会計ソフト、POSレジ、予約・在庫管理システム、ECサイト構築など

💡 ポイント
中小企業の業務効率化・デジタル化を図るための補助金です。「会計ソフトをクラウド化して経理負担を軽減」「POSレジ導入で販売管理を効率化」「オンライン予約システムで人手不足を補完」など、具体的な生産性向上や省力化の効果が期待できるIT投資を支援します。申請はITベンダー（登録されたIT導入支援事業者）を通じて行う仕組みのため、やや手続きが特殊ですが、その分専門家のサポートを受けながら進められます。補助対象となるITツールは事前に登録されたものに限られるため、自社の課題に合ったツールが対象かどうか、公式サイトのツール一覧を確認すると良いでしょう。

IT導入補助金の補助申請者やシュミレーター、活用事例はこちら

ものづくり補助金

• 上限：750万円（通常枠）～3,000万円程度（グローバル展開や大規模賃上げ枠など）

• 補助率：中小企業1/2、小規模企業2/3（※賃上げ等の要件を満たすと引上げあり）

• 対象：革新的サービスや設備投資、IoT・AI活用など

💡 ポイント
数ある補助金の中でも金額規模が大きく、チャレンジングな投資を後押しする代表格です。製造業はもちろん、サービス業でも業務プロセスの革新に繋がる設備投資なら対象となります。「最新の生産設備を導入して生産性を飛躍的に上げたい」「IoTやAI技術を活用して新たなサービスモデルに転換したい」など、本格的な革新に挑む事業者を支援します。申請書には事業の革新性や市場ニーズ、収益見通し等を盛り込む必要があり採択ハードルはやや高めですが、採択されれば数百万円規模の設備導入も実現可能です。事前に事業計画を練り上げ、中小企業診断士等のブラッシュアップ支援を受けることをお勧めします。

ものづくり補助金の公募要領やスケジュールについてはこちら

事業再構築補助金

• 上限：最大500万円～1億円（企業規模や枠組により異なる）

• 対象：売上減少した事業者の新分野展開や業態転換

💡 ポイント
ポストコロナ時代に向けた事業モデルの大転換を資金面から支える大型補助金です。「コロナで売上が落ち込んだ既存事業を縮小し、新たな分野に挑戦したい」「思い切って業態を変革して生き残りを図りたい」という事業者向けで、例として飲食店がゴーストキッチン事業に乗り出す、製造業が医療機器製造に参入するといったケースがあります。補助金額が大きい分だけ要件確認や事業計画書の作り込みは厳密に行う必要があり、公募要領も詳細です。採択率は回によって変動しますが決して高くはないため、専門家と相談しながら綿密な計画と確かな数値根拠を準備することが成功のカギです。

事業再構築補助金の詳細情報や公募要領はこちら

5.神奈川県・市区町村・全国制度 補助金・助成金 比較表

ここまで紹介した制度を一覧表にまとめました。気になる制度を比較して、自分に合った支援を見つけましょう。

神奈川県（県レベル）

 市区町村制度

全国制度（神奈川県でも利用可能）

6. 補助金・助成金の申請の流れと活用のコツ

申請までの一般的な流れ

1. 最新情報の収集
   希望する補助金の公募時期・詳細要件を自治体HPや商工会議所サイトでチェック（年度によって要件変更や受付停止の場合もあるため要注意）。

2. 要件の確認
   自社が申請資格を満たすか確認。対象経費の範囲、創業何年以内か、所在地や業種の条件、事前研修の受講要否などを整理。

3. 事業計画書の作成
   補助事業で実現したい内容や達成目標を具体的な数値KPIを交えて作成。曖昧な計画書では採択が難しいため、売上見込みや顧客獲得目標など根拠ある数字を盛り込むこと。必要に応じ専門家（中小企業診断士等）の助言を得る。

4. 見積書や証明書類の準備
   補助対象経費に関する見積書、創業支援事業の受講証明書、確定申告書や納税証明書など、応募要項で指定された書類を揃える。漏れや不備があると受け付けてもらえないので注意。

5. 期限内に申請書類提出
   オンラインまたは郵送・持参で締切日必着で提出。締切を過ぎると一切受け付けてもらえないため時間に余裕をもって。自治体によっては事前相談や下書きチェックに対応してくれる場合も。

6. 交付決定後に事業実施
   採択通知（交付決定）を受け取った後に発注・契約・支払い・実施を開始する。交付決定前に使ったお金は原則補助対象外なのでタイミングに注意。事業期間内に計画した支出と成果物の導入を完了させること。

7. 実績報告と補助金受領
   補助事業完了後、実績報告書と支出証憑（領収書等）をまとめて提出。事務局で内容確認・現地確認を経て問題なければ補助金が支払われます。

申請・活用のコツ

補助金申請は競争もあり手間もかかりますが、以下の点に留意すると成功率が上がります。

• 専門家の活用
  商工会議所の経営指導員や中小企業診断士・税理士などに早めに相談しましょう。第三者視点で事業計画をブラッシュアップでき、採択可能性が高まります（自治体によっては事前相談が採点項目になるケースも）。

• 数字の裏付け
  「売上を上げたい」「効率化したい」だけでなく、具体的にどのくらい改善するかを示します。例えば「新規設備導入で生産量を現在の月100個から150個に増やし、年商△△万円増を見込む」等。根拠データや試算シミュレーションがあるとなお良いです。

• スケジュール管理徹底
  補助事業には厳格な期限があります。申請期限はもちろん、採択後の実施期間や報告期限もカレンダーに書き込み、逆算して行動してください。特に交付決定前の契約・支出はNGなので、設備納期や工事期間も考慮して計画しましょう。余裕のないスケジュールはミスや遅延のもとです。

• 継続的な情報収集
  国や自治体の支援策は毎年更新されます。今回紹介した制度も名称変更や改編、新制度の創設があり得ます。定期的に経済産業省や自治体の補助金情報ページ、地域の支援機関の案内をチェックし、使えるものは積極的に取り入れましょう。

まとめ

神奈川県内では、県や市区町村独自のものから全国規模のものまで、個人事業主や中小企業者向けの補助金・助成金制度が数多く整備されています。しかし、補助金・助成金はあくまで手段であり、ゴールではありません。資金的な追い風を得たら、計画した事業をしっかり遂行し、売上拡大や効率化といった結果に結びつけていきましょう。

よくある質問

神奈川県の補助金・助成金の申請資格として共通するポイントは？

基本的に神奈川県内で事業を営む個人事業主または中小企業（法人）が対象となります。各制度ごとに創業からの年数や従業員規模、業種などの細かな要件がありますが、共通して地域経済への貢献が期待でき、事業計画に実現可能性があることが重要視されます。また税金の滞納がないことや暴力団と無関係であることはどの制度でも前提条件です。自治体独自制度では市内での創業・事業実施が必須であり、特定創業支援事業の修了が要件になっている場合もあるので注意してください。

補助金・助成金の申請はどのように行えばいいですか?

情報収集、申請要件の確認、必要書類の準備、期限内の申請提出、事業実施と報告書の提出といった流れで進めます。専門家のアドバイスや過去の事例研究も申請成功につながります。

補助金・助成金の申請にあたって注意すべきことは何ですか?

申請期限と提出書類の不備に注意してください。締切日厳守は大前提で、遅れるとどんな理由があっても受理されません。また申請書類に不備や記入漏れがあると採択以前の問題となります。チェックリストを活用し、第三者の目で確認してもらうと安心です。事業計画については机上の空論にならないよう市場や競合の情報を盛り込み、具体的な数字目標を設定しましょう。採択後についても、交付決定前に支出した経費は対象外というルールや、報告書提出の期限など守らないと補助金が受け取れなくなる条件があります。

補助金・助成金の申請手順はどう進めればよいでしょうか？

一般的な流れは、情報収集 → 要件確認 → 計画書作成 → 書類準備 → 申請提出 → 採択後実施 → 実績報告です。まず各制度の公募要領を読み込み、自社が該当しそうなものをピックアップします。次に募集期間内に申請書類一式を揃えて提出します（オンライン申請対応が増えています）。採択され交付決定を受けたら、計画どおり事業を実行し、完了後に報告書を提出して補助金を受け取ります。

なお、採択率を高めるための事業計画づくりについては、ぜひ当社にご相談ください。専門的な視点から計画のブラッシュアップを行い、採択の可能性を一層高めるサポートをご提供いたします。