こんにちは、中小企業診断士の今江亮一です。川崎・横浜エリアを中心に、飲食店・小売店やサービス業などの中小企業の経営支援を行っています。
今日は、飲食店経営者の皆さんからよくいただく相談、「メニュー表を新しくしたいけど、デザイン会社に頼むと高いし、自分で作れるものなの?」という疑問にお答えします。
結論から言うと、Canvaを使えば、プロ並みのメニュー表が無料で作れます。しかも、外注では実現できない「経営戦略を反映したメニュー構成」まで自分の手で作り込めるんです。
1. メニュー表は「最強の営業マン」。外注せずCanvaで自作するメリット


メニュー表は、お客様が必ず手に取る、あるいは目にする「無言の営業マン」です。デザインだけでなく、どの商品をどこに配置するか、どんな言葉で説明するかによって、注文率は大きく変わります。
外注すると、確かに見た目は綺麗に仕上がります。ただ、デザイン会社は「美しさ」のプロであって、「売上を上げる構成」のプロではありません。また、季節メニューの追加や価格変更のたびに数万円の修正費用がかかるのも悩みどころですよね。
Canvaで自作するメリットは、次の3つです。
- コストがほぼゼロ(無料プランで十分使える)
- 修正がいつでも自由(季節メニューの入れ替えも即日対応)
- 経営戦略を反映できる(売りたい商品を目立たせる配置が自分で決められる)
デザインの知識がなくても大丈夫。テンプレートを選んで、写真と文字を入れ替えるだけで、驚くほどプロっぽく仕上がります。
2. Canvaが飲食店DXに最適な理由


私が飲食店経営者の皆さんにCanvaをおすすめする理由は、「デジタルツールなのに、デジタルが苦手な人でも使える」という点に尽きます。
直感的な操作性
Canvaは、パワーポイントが使える方なら、ほぼ説明書なしで使えます。画像をドラッグ&ドロップで配置して、テキストをクリックして編集するだけ。特別なソフトのインストールも不要で、ブラウザさえあれば、スマホでもパソコンでも作業できます。
飲食店向けテンプレートが豊富
「メニュー」と検索するだけで、和食、洋食、カフェ、居酒屋など、業態別に数百種類のテンプレートが見つかります。白紙から作る必要がないので、デザインセンスに自信がなくても、プロが作ったベースを活用できるんです。
以下のCanva内にあるメニューテンプレートの1枚ですが、レイアウトもお洒落で美味しそうですよね。このレイアウトを参考に写真やテキストを入れ替えるだけで作れるので、最高の時短につながります。


コスト削減効果が大きい
通常、デザイン会社にメニュー表を依頼すると、初回制作で3〜5万円、修正のたびに5,000円〜1万円程度かかります。年に4回季節メニューを変更するだけで、年間5〜7万円の出費です。
Canvaなら、無料プランで十分使えますし、有料プラン(月額1,000円程度)を契約しても、年間2万円以下。初年度だけで3〜5万円のコスト削減が実現できます。
3. 【診断士の視点】デザインの前に!「売れる」メニュー戦略


ここからが中小企業診断士としての本領発揮です。メニュー表の作り方を説明する前に、「どのメニューをどう配置するか」という戦略を立てましょう。
ABC分析で「推しメニュー」を決める
ABC分析とは、商品を売上や利益への貢献度で分類する手法です。飲食店では、次のように考えます。
- Aランク商品:売上も利益率も高い、お店の稼ぎ頭(例:看板メニュー、高単価コース)
- Bランク商品:売上はそこそこで、利益率も標準的な定番メニュー
- Cランク商品:売上は少ないが、品揃えとして必要なメニュー(お子様メニューなど)
まずは直近3ヶ月のPOSデータ、または手書きの売上台帳を見て、各メニューの「売上金額」と「利益額」を書き出してみてください。エクセルで集計すれば10分もあれば終わります。
メニュー表では、Aランク商品を目立つ位置に配置するのが鉄則です。
視線誘導の法則(Zの法則・Fの法則)
人の視線は、一定のパターンで動きます。
- Zの法則:見開きのメニューでは、左上→右上→左下→右下の順に視線が動く
- Fの法則:縦長のメニューでは、上から下へ、左から右へと視線が流れる
つまり、左上や上部が「一等地」なんです。ここに利益率の高いAランク商品や、今月のおすすめメニューを配置しましょう。逆に、原価率が高くて利益が少ない商品は、あえて目立たない右下や後半ページに配置するのが経営戦略です。
すなわち以下のメニュー表であれば【メイプルバナナパンケーキ】はAランク商品でしっかりと売上て利益を上げたい商品が入るという形です。


「松竹梅の法則」を活用する
人は3つの選択肢があると、真ん中を選びやすいという心理があります。例えば、
- 松:特上ステーキ定食 2,800円
- 竹:ステーキ定食 1,800円(←多くの人がこれを選ぶ)
- 梅:ミニステーキ定食 1,200円
このように、本当に売りたい「竹」の価格帯を際立たせるために、あえて高価格の「松」を用意するのもテクニックです。
4. 実践ステップ:Canvaでメニュー表を作る手順


それでは、実際にCanvaで飲食店メニュー表を作る流れを説明します。
ステップ1:Canvaに登録してテンプレートを選ぶ
まずはCanva公式サイト(canva.com)にアクセスし、無料アカウントを作成します。Googleアカウントがあれば、1クリックで登録完了です。
ログイン後、検索窓に「飲食店 メニュー」「カフェ メニュー」などと入力すると、業態に合ったテンプレートがずらりと表示されます。お店の雰囲気に合うデザインを選びましょう。
選ぶポイントは、文字が読みやすいかどうか。華美すぎるデザインより、シンプルで情報が整理されているテンプレートの方が、実は注文率が高いんです。
ステップ2:商品写真と説明文を配置する
テンプレートを開いたら、サンプル画像をクリックして、自分のメニュー写真に差し替えます。写真がない場合は、Canva内の無料素材を使うこともできますが、できれば実際の料理を撮影することをおすすめします。スマホでOKです。
写真撮影のコツ:自然光の下で、料理を斜め45度から撮影すると、立体感が出ておいしそうに見えます。
次に、テキスト部分をクリックして、メニュー名、価格、簡単な説明文を入力します。
ステップ3:キャッチコピーはChatGPTに相談してみる
「このメニュー、どう表現したらおいしそうに伝わるかな?」と悩んだら、ChatGPTなどのAIツールに相談するのも一つの手です。
例えば、「国産牛のステーキ定食のキャッチコピーを3案考えて」と入力すれば、「厳選国産牛の旨みを堪能」「肉汁あふれる至福の一皿」など、いくつか候補を出してくれます。それをベースに、自分の言葉で微調整すればOKです。
ただし、AIの提案をそのまま使うのではなく、お店の個性が伝わるように、一言加えることが大切です。
ステップ4:ダウンロードして印刷
完成したら、右上の「ダウンロード」ボタンから、PDF形式で保存します。印刷は、自宅のプリンターでも問題ありませんが、コンビニのネットプリント(1枚20〜50円)を使うと、発色が綺麗です。
5. 仕上げのコツ:「素人感」を払拭する方法


Canvaで作ったメニュー表を、よりプロっぽく見せる仕上げのコツをお伝えします。
用紙選びで差をつける
普通のコピー用紙に印刷すると、どうしてもチープな印象になります。おすすめは、**マットコート紙(厚口)**です。家電量販店やネット通販で、A4サイズ100枚1,000円程度で購入できます。
マットな質感が高級感を演出し、インクの発色も良くなります。
ラミネート加工で耐久性アップ
飲食店のメニュー表は、水滴や油汚れがつきやすいもの。100円ショップで売っているラミネートフィルムを使えば、汚れに強く、長持ちするメニュー表になります。
家庭用ラミネーターも、2,000円程度で購入できるので、一台あると便利です。
余白を意識する
デザイン初心者がやりがちなのが、「情報を詰め込みすぎる」こと。メニュー表は、余白があるほど高級感が出ます。文字と写真の周りに十分なスペースを取り、すっきりとした印象を心がけましょう。
6. まとめ:経営戦略を形にする楽しさ
メニュー表の自作は、単なるコスト削減だけでなく、「自分の店の経営戦略を、自分の手で形にする」という、経営者としての醍醐味を味わえる作業です。
最初は1〜2時間かかるかもしれませんが、慣れれば30分程度で作れるようになります。季節ごとにメニューを見直し、お客様の反応を見ながら改善していく。このPDCAサイクルこそが、売上アップの近道なんです。
今日お伝えした内容を、ぜひ明日から実践してみてください。「自分でもできそうだ!」と感じていただけたら嬉しいです。
もし、「メニュー戦略をもっと深く考えたい」「ABC分析のやり方を教えてほしい」というご相談があれば、私たち中小企業診断士がお手伝いします。川崎・横浜エリアを中心に、飲食店の経営支援を行っていますので、お気軽にお声がけください。


